石角完爾『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』を読んだ感想です.
最後まで読むのがとても辛い一冊.
テーマや取り扱う題材は面白いです.テーマと全体の構想は面白い,それ以外は壊滅的.文章がとても気持ちが悪い.高級食材で排泄物以下の料理を作っているかのようなものです.
特に気になる点は,
著者の「日本をこき下ろしたい気持ち」が隠しきれていないことでしょう.著者の日本文化への理解が壊滅的です.そして壊滅的な日本文化への理解をもとに批判をするという全く意味の分からない行為が繰り返されています.例を挙げますと,「地獄の沙汰も金次第」という言葉から「日本人は金で神を買収できると考えている!」と顔真っ赤にしていたり(地獄への審判や地獄の管理を神がせっせとやっていると著者は思っているのでしょうか?),神社でのお参りを神頼みをするだけの行為とみなしていたり(成功している人ほど神へ感謝をするのですが著者はご存じないようです),一事が万事この調子です.
本当に元日本人なのかこの人!?
また説話の中で幸せを享受する人物が明らかな悪行をしているのですが,そこに触れないのは何故でしょうか.「ウィズダムを売る老婆」の話では窃盗が行われていますし,「ソロモン王のウィズダム」では火事場泥棒的な行為が正当化されています.議論をするのがユダヤ人と言いながら,議論を促すような構成にはなっていませんし,だれかと議論したか怪しい解説しかないと感じました.
細かいことを言うならウィズダムの説明も解釈可能な言葉を使いながら,解釈可能な言葉を使ったものはウィズダムでは無い!と記されているのも気味が悪い.
くり返しますが扱うテーマは面白いです.作品全体で言いたいことも理解できます.しかし,それだけです.全体を構成するパーツがとにかく酷い出来でした.Amazonの評価が4.2で驚いています.最近東大・京大の生協で売れているという『暇と退屈の倫理学』も高評価を得ながらも,似た欠点を持っていたと思います.テーマが面白く,全体を通し主張したいことも理解できるが,部分部分がおかしな著作.
最近はこういった本が人気なんですね.
アホくさ
それじゃあ最後に,それっぽい言葉を引用して終わりましょう.
『すごいこと』より『すごい空気』が幅を利かせ
『楽しい』より『楽しそう』がぶいぶい言わせる
天才よりも天才のフリがうまい奴が評価される世の中だ
時代が求めているのだよ 合成着色料を。
ーーー漫画『めだかボックス』より鶴喰梟のセリフ